So-net無料ブログ作成

一日中寝っころがって借りた映画を観たおしてみた2 [映画]

麦秋(1951)
20151221bakusyu.jpg
笠智衆の髪が黒くてフサフサぢゃないか!
その笠智衆が、白髪のおじいさんを
「お父さん」と呼んでるじゃないか!
その笠智衆の妹が原節子だったり
戦死した弟の嫁の母親が杉村春子だったり
二人とも「東京物語」では
笠智衆の娘だったぢゃないか!

平凡だが幸せな家族が
子供の結婚を機に崩壊目前
幸福の選択なのは確かなのに
選択結果のあまりの意外さに
皆の表情が沈んでいく
「秋刀魚の味」でも感じたが
この種の無常観を漂わすのが
小津流なのかなと感じた

誰もが死ぬときは一人ぼっちだから
無常がつきまとうことに違いは無いが
遺伝子を子孫に残すという義務を放棄した
(つもりはないが事実上そうなってしまっている)私は
唯一の家族をことさら意識する面はある
(母親の死がきっかけなのは確かだ)
もしかすると
小津監督自身がそうだったのかもしれない
(何の根拠もないので悪しからず)

そして私が結婚できないのは
やっぱりロマンチストだからなんだろうなぁ


Jimi: All Is by My Side(2013)
20151221jimi.jpg
ジミ・ヘンドリックス
史上最高のロックギタリストである
ギター小僧でなかった私でも知ってるし
年を取るほど曲も好きになってきている
だが夭折した彼の実像はほとんど知らなかった
だからこの映画を観てみた

伝記映画でオールドラマである
だから演奏も含めすべてがイミテーションだ
なのにそれでもジミヘンだけカッコいい
60年代の話で、それらしい場面が作られているのだが
彼だけが今観てもカッコいいのである
ギタープレイや楽曲だけじゃない
恰好、仕草、話し方、雰囲気、考え方
それらすべて、今から見てぜんぜんカッコいいのだ
いや、今観るからこそカッコいいのかもしれない
ジミヘンはいかに図抜けた存在だったかが
この映画を通じても伝わってくる
彼こそがホンモノ、彼こそがレジェンドと呼ぶにふさわしい

ついでだが
この映画でキース・リチャーズの恋人役だった
イモージェン・プーツという女優さんはキレイである


本日休診(1952)
20151221kyusin.jpg
時代を超えたカッコ良さといえば
この映画での三國連太郎も同じである
特殊な役柄だが今観ても抜きん出てカッコいい
白黒のフィルムに固定された人々の中で
彼の姿だけ4Kテレビで観てるようだ

金持ち夫人と鶴田浩二のくだりは
おなかを抱えて笑ったし
佐田啓二のあまりにも軽薄な存在感は
まるでデビューの頃の中井貴一だし
「麦秋」とは全く異なる役柄で
淡島千景の女優魂を垣間見たし
岸恵子の顔がぱんぱんで
まるでアンパンマンみたいに可愛らしかったが

終戦直後の
街も人の心も荒み放題な加減に圧倒されてしまう
戦争は何もかも無茶苦茶にしてしまったのだ
無茶苦茶にされてもなお人は
日本人は、我々の先輩は立ち上がり今に至っている
この映画を観て
その源流を目の当たりにする思いがした

原作は井伏鱒二
私は傑作映画だと思いますが
おススメする勇気はありません


Pride(2014)
20151221parade.jpg
レズやゲイの人を「LGBT」と呼ぶことを
炭鉱の労働運動をゲイが支援したという実話に基づく
この映画で知った
過剰な場面はまるでなく
ユーモアを忘れず真面目に前向きに
厳しい現実に立ち向かっていく人々を描くところは
「フル・モンティ」「リトル・ダンサー」など
炭鉱街を舞台にしたイギリス名画の伝統を
しっかり受け継いでいると思う

この映画のキーワードは
「プライド」である

プライドを持たない人間を
誰も尊敬しないし
プライドを持つ人間は
他人に敬意を払うだろう
「正義」や「平等」という用語を
大げさに振りかざすのではなく
自分が自分であることに誇りを持つこと
それを自他ともに認め大事にすることが
もっと大切なのではないかなと思った

相変わらず、根本的な解決にはならないけれど
良い映画が多いですイギリスは

コメント(0) 

一日中寝っころがって借りた映画を観たおしてみた1 シェーン(米1953) [映画]


実はこれもケーリー・グラントつながりである
"The Talk of the Town"という日本未公開(戦時中)の映画があって
知られざるスクリューボール・コメディの傑作なのだけれど
このヒロインとしてチャーミングな魅力をまき散らかしていたのが
ジーン・アーサーという女優さんだ
好みのタイプではないし、特段美人だとは思わないのだが
なぜか、もやもやっと引っかかるものがあったところ
あの有名な「シェーン」に出ていたときいて(監督同じです)
これを機会にと観てみたのである

そしたらあなた! これが大傑作映画で涙ボロボロ
一言でいえば「超絶カッコいい寅さん映画」だ
そういえば、これも超有名なテーマ曲
”The Call for Far-away Hills(遥かなる山の呼び声)”も
「男はつらいよ」のテーマと、どこが似ているような気がする

この日本人好みの、義理と人情にあふれる
健さんみたいな超絶カッコいいオトコの運命を
やや年増感も出た、お母さんでもある役柄の
ジーン・アーサーが決めてしまうのである
それも握手一本で
イイオンナほどイイオトコを振り回すものだ
そしてオトコはつくづくバカである

翻訳の按配かも知れないが
主人公が「自分を変える」ことに肯定的であり
それができなかったことを正当化せず
「時代を道連れに去る」理由として受け入れるところ
その「時代」が、「銃に物を言わせる」時代なことが
偶然であるけれど今日的なテーマでもあり
時代を超えている点でも良い映画なのだと
しみじみした次第である

コメント(0) 

東京物語(1953) [映画]

20151029tokiostry.jpg

自分の中で、オトナになったら実現したかったこと

  
  ・お蕎麦屋さんでお酒を飲みたい
  ・ウヰスキーの味がわかるようになりたい
  ・エトワールセト(夜行高速バス)往復じゃなくヒコーキ往復で東京行きたい

に並んで

  「東京物語」を観たい

があった
備後で暮らし始めた以上、マストな気がしていたのである
だが、実現には大きな壁があった
先に「明日は来らず」を観なければならない
それがつい先日実現したので
ようやっと、「東京物語」を観ることが出来た
社会人になって以来、ん十年越しのことだ
あっという間ではあったけれど

【ありがぁと】
思ったよりビンゴビンゴしていた映画だった
備後弁オンパレードだったからである
特に「ありがぁと」のイントネーションは
村上シスターズそのまんまである
また、やたら「そんなことはない」というのも
備後流なのかなと気づいた

【スカイツリー線】
私にとってスカイツリーはバカヤロー的な存在なのだが
なにかと縁があるのである
この映画の東京は
スカイツリー線(東武伊勢崎線)沿線(という設定)らしい
実はつい先日も乗って来たばかりなのだが
詳しくは後日

【え?山村聰!】
そのスカイツリー線の「堀切」駅近辺に住んでいるという
長男を演じたのが山村聰なのだが
私が知っているのは、恰幅の良い姿なので
全然気づかなかった
この映画での煮え切らない態度は
「明日は来らず」の長男と同じである

【ヨダレでる杉村春子】
広大附属福山高出身の杉村春子
その外連(ケレン)味のなさ加減が
まるで鬼のように、いやぁ凄い凄い
凄すぎて「いやんなっちゃうなぁ」である
「旨いなぁ」とヨダレを垂らしながら見とれてしまう

【原節子で泣かされるとはおもわんかった】
それに引き替えヒロインの原節子は
なんだかふわっとした芝居が続き
その意義に釈然としなかったのだが
大きな画面(スクリーン)で見直したときの
クライマックス「あたしズルいんです」での
目に溜まった涙を観て、全てが腑に落ちた
「明日は来らず」にない役を登場させた意味
そして、この映画が名作とされる理由が

【日本的とは何か】
「明日は来らず」が提起したテーマが
人生に限りがある限り、時代を超え国を超え
親と子の間にも存在する無常観―だとすれば
「ユーモア」や「希望」ではなく「諦観」
(あるいは「悟り」か)をもって答えた「東京物語」は
20年越しの、小津監督なりの
邦画としての立派な「回答」なのだと思う
そう考えると、「深いなぁ」「素晴らしいなぁ」と
しみじみせざるを得ないぢゃないですか
「東京物語」という映画も、もちろん尾道も

もちろん、「悟り」には程遠い私の好みは
「明日は来らず」なのだけれど

おまけ

【尾道の坂】
20151029onomitisaka.jpg
駅から遠く離れた場所でも、尾道らしい坂がここかしこに転がっている
振り返れば尾道W大橋
20151029ohasi2.jpg

【尾道の井戸】
20151029onoido.jpg
偶然発見したひとんちの井戸

【尾道のぬこ】
20151029ononuko.jpg
尾道歴ン十年の私に言わせれば
撮れそうで撮れないショット




コメント(0) 

Make Way for Tomorrow 「明日は来らず」(1937) [映画]

20151017mwft.jpg
こんなにあざやかなラストシーンを見たことがない
これほど凄い映画を観たのは初めてである
私の中で長い間No.1映画だった「パルプ・フィクション」を超えてしまった
今、この瞬間、私のNo.1映画だ

【ストロングポイント】
1)テーマが普遍的であること
  ・80年前のアメリカも21世紀の備後福山も変わらない
2)予想外の展開でたたみかけてくること
  ・序盤・中盤・終盤で映画のジャンルが違う?
  ・緩急の巧みさ。特に終盤の猛烈な加速感と…
3)印象に残るラストシーン
  ・強烈に焼き付けられる残像
この3点はみな、かつて私のNo.1映画だった
「パルプ・フィクション」にも通じる点である

【この映画にたどりつくまで】
そもそもが「パルプ・フィクション」のディスク特典
監督タラちゃんがインタヴューで「赤ちゃん教育」を連呼
それが始まりだった
「赤ちゃん教育」→ケーリー・グラント→「めぐり逢い」→
「邂逅」→レオ・マッケリー監督→「我が道を往く」→
そして「明日は来らず」と、端折って書くとこんな感じだ

【レオ・マッケリー監督】
「邂逅」を観るまで、まったく知らなかった
「我が道を往く」で、硬軟強弱の織り交ぜ方が巧いなぁと思ったが
鬼のような凄みを感じたのは、自身が最高傑作と確信したという
この「明日は来らず」である(興業的には失敗したらしい)
超・名・大・監督である。間違いない

【東京物語】
海外からの高評価が続く邦画の名作の下敷きになったのが
この「明日は来らず」だということは、知識として知っていたし
観る動機にもなったのだが、実は「東京物語」自体
恥ずかしながら未見なので今は触れない

【これぞ女の生きる道…といったら怒られるかなやっぱ】
終盤クライマックスのシーン
特に老母が詩を詠むあたり
これから結婚する女性には特に
是非とも観ておいてほしいものである
「愛」こそ「人生」そのものなのだなぁや

【おまけ】
この映画で、煮え切らない長男を演じた役者さん
スカーレット・オハラのおとーさん役だった人だそうだ
(気付かなんだ…)
そのほか「駅馬車」「スミス都へ行く」「素晴らしき哉、人生!」
それになんとあの「ハイ・ヌーン」まで出てるってよ…
口あんぐりな気分である

コメント(0) 

バックコーラスの歌姫たち(2013) [映画]

20150922deva.jpg
あと20フィート(6m強)までのところで
一流になれなかった歌姫たちを描いた
実によくできたドキュメンタリー映画である
よくこんなの撮ってたなあという映像が満載で
音楽好きの人にはたまらないだろう

一流になれなかったのは、スティングが言うように
「公平な勝負で決まるわけではない」からである
そして
「自分を見失い現状に甘んじていると
どんな女性も消耗してしまう」のだ

これってショービジネスの世界に限らず
あるいは女性や黒人に限ったことではない
われわれの世界も同じなのではないだろうか

テレ東の番組で日本の職人(中の職人)が
「技術なんて長く続けていれば勝手に身につくんです」
「長く続けることが難しいんですよ」
と言っていて、そのそっけなさ格好よさに
またまた涎を垂らす思いだったのだけれど
”自分を見失わず、現状に甘んじることなく”
「長く続けていくこと」が大事なのだなと
そして
それができる人は、もう一流なのではないかと
「修証これ一等なり」の思いを強くする

ところで、映画の中で
印象的に使われていた
ローリング何がしの曲「ギミーシェルター」について
興味深い映像(?)があったので紹介する


コメント(0) 

我が道を往く(1944) [映画]

題名からは予想もつかない
地味な内容である
劇的な展開はほとんどない
人の世の、人生の悲哀を
軽快なユーモアで楽しませながら
前向きに受け入れていく
実に「じわっと来る」のである
この監督の真骨頂だ
特に「間」
クセになりつい何度も観てしまう
20150922goinmyway.jpg
ビング・クロスビーの低く深い歌声が
心にやさしく染み渡る
「きよしこの夜」など
初見の父がいきなり一緒に口ずさんだほどだ
フィッツギボン神父を筆頭に
登場人物も魅力にあふれている
同じ題名の挿入歌が劇中で披露されるものの
正直出来がイマイチなのであるが
それを「落ち」で使ってしまうところに
この映画の質の高さを感じる
こんな名作を大戦中に作ってしまう
つくづくそんな国を相手に
戦争なんかするものではない


コメント(0) 

邂逅(1939) [映画]

20150813lvaf.jpg
レンタルを観終わった直後
実に良い映画を観たなと
久しぶりにしみじみした
その後欲しくなったDVDをぽちったアマゾンのコメントで
全く同じことを書いてる人がいて笑ってしまった
淀川長治は冒頭の解説でネタをバラしながら何度も
「キレイな映画」と表現していた
(なので映画鑑賞後に見ることをおススメする)

大人の恋の話である
だからこそ
邦画みたく陰々鬱々だったりドロドロとかしていない
劇中のヒロインの言葉が象徴している

人生はロゼ(ピンク)シャンパンのように軽やかに

もちろん人生も恋と同じで
喜びはほんの一瞬
あとのすべては苦しみや悲しみや切なさ
なのだろうけれど
きっと真剣に人生(恋)を生きている人ほど
それをあからさまにしないのだ
言葉にはせず笑顔のまま
口の端を一瞬ゆがめて見せたリする
それで伝わるのである
そりゃ、いろいろあるよと
いろいろあっても、そうするだけの価値があると
言葉ではなく体現しているのである
「粋」である
それも命がけの

劇中で歌われる「愛の喜び(Plaisir d'Amour)」

言うまでもなくプレスリーの
「好きにならずにいられない」の原曲である

しかし、この映画にまで
ニューヨークのクリスマスが登場するとは
思いもよらなかった
しかも街の雰囲気がシーのアメフロそのままである
(船のシーンはコロンビア号だ)
だから、この映画の中で流れている時間と
自分の知ってるシーの時間がシンクロして
心臓方面に迫ってきて仕方がない私なのだ

コメント(0) 

ベイマックス: 福山で楽しむ極上アトラクション [映画]

初見は福岡、正月に家族と観た
2D字幕版だったのだが
迫力のあるアクションシーンが多く
是非3Dでも観たいと思ったのだ
そのときは4DXまでは想定していなかったのだが
せっかく福山で観れるんだし、送迎バスもあるし、休日だしぃ

で、行ってみたのである
コロナのHPで時刻表を調べ
福山駅北口から送迎バスに乗りこんだ
女子中高生グループや
若いカップルだらけだった
20150212bus.jpg

窓までラッピングされた車内は薄暗く
20150212mado.jpg
とても遊びに行くとは思えない
押しつぶれた気分になる

20分くらいで到着したコロナは遊技場だらけ
真面目でぼっちな私には居場所が無く
きっぷを買っていきなり3Dメガネを渡されてからは
(4DXは1300円余計にかかる)
入場時間まで大人しくベンチで待った

201502124dx.jpg
4DXの部屋は、席数が
一番前のAからGまでの7列しかなく、横方向が多い
普通より大きいシートなのに番号が足元だけで
しかも極端に小さくてわかりづらかった
20150212seatno.jpg
シートベルトを探したが見当たらなかった
座った途端係員がやってきて
ポップコーンのバスケットは席に置けないと案内して回る
隣のカップルにーちゃんは仕方なく
バスケットを片手で持ち上げながら急いで食べていた

20150212bmx.jpg
覚えていた以上に全編にわたって
スピード感のあるアクションシーンがあり
その動と静、ギャグとシリアスの緩急が絶妙で
映画館では滅多に泣かない私が
場所もわかってて心構えしていたにもかかわらず
初回に続いて泣いてしまう寸前までいった
席が動き、傾き、振動し、風も吹いたりする4DX
(熱が無いのがつくづく惜しい)を味わい尽くすには
うってつけのスーパーヒーロー映画である
観客はきゃっきゃと歓声を上げながら楽しんでいた
4DXで観れば、USJのダーマンやランドのスタツアにも迫る
極上のアトラクションである(言い過ぎか)
シーの2万マイルやストームに並ぶよりは
価値があるんじゃないかな(言い過ぎか)
テケツ売場前のベンチでポプコーンをほおばりながら開場を待ち
丸腰で一文字アトラクションを思い切り楽しみませう

20150212honeylemon.jpg
6人の中で一番印象に残ったハニーレモン
癒し系で手が大きいのがすこぶる良い

なお21日からは「アナ雪」が4DXで再上映されるとのことです

おまけ

映画が終わったら終バスまで1時間あった
ここぞとばかり大人力を使い三吉町の大黒屋さんへ
いい気分だったから飲みたかったのである

2015年度玉子焼きNo.1を早々と決めた「山菜入り玉子焼き」
20150212daikokuyatamagoyaki.jpg
まあ一度、食べてみんさいやあ

おとうさんが「濃いよ」というくらい濃くて旨い蕎麦湯
20150212sobayu.jpg
これと割り子ばっかりは
まだまだおとうさんにはかなわないようだね>駅前


コメント(0) 

アパートの鍵貸します(1960) [映画]

年末に借りて里帰りしたら
偶然、年末の物語だった
ストーリー、脚本、俳優、芝居、音楽、演出
どれもが100点満点の完璧な映画である
描かれているのは宇宙でもなくジャングルでもなく
古代ローマ帝国でも未来でもない
主人公は現代社会の1サラリーマン
日常中の日常風景、よくある痴話話である

【日常に神が宿る】
特にセリフは世間話に近く、スピードも早いので
字幕が追い付けないほどだ
その何気ない「普通の」会話が絶妙に重なり
ストーリーにどんどん深みを増していく様は
まるでバッハのフーガのようであり
「パルプ・フィクション」のようでもある
ヒロインを一般家庭で治療するシーンなど
この映画をリスペクトしてるに違いない

【ジャック・レモン】
セリフだけではない
流れるような手振りやしぐさなど
細かい演技に見られる日常性は
神がかりといっていいほどだ
これに表情や発声の抑揚
さらにコミカルな要素などを
一から創作したのだと思えば
この俳優の凄さには舌を巻く
本物の俳優である
ちなみに冒頭での独り夕食のシーンでは
「傷だらけの天使」のショーケンを思い出した
絶対影響を受けていると思う

【シャーリー・マクレーン】
2013年の映画LIFE(The Secret Life of Walter Mitty)で
80歳を目前にしてのその女子力に驚いたものだ
25歳時のこの映画では
登場シーンからオーラの違いを見せつけるが
圧巻はクライマックスでのあの笑顔である
いや、言い間違えた
あの笑顔こそがこの映画のクライマックスである
懸命に駆ける美少女の笑顔にかなうものなし

【皆まで言わない】
日常会話をまくし立てるような映画だが
肝心なことはいちいち言わない
男と女のことについては
暗黙の了解なのがいい
その共通認識の上に立って
お互いがお互いの立場で瞬時に行動する
主人公の場合、お人が良すぎて
さらに誤解を招き窮地に立つのだが
相手を思うからこそのその行動に
ヒロインだけでなく、観てる観客も
心を動かされるのである
こういうのを「粋」っていうんだろう

【ラストシーン】
それでも男は、好きな人には言わずにはいられない
それを女は軽くたしなめるのである
わかってるからこそ、でしょ?と
20150121apartment.jpg
平凡でいまいち盛り上がりに欠けるように見えて
含蓄に富んだ最高のラストシーンである

【たったひと言】
主人公とヒロインの心情や行動も
絶妙に時間をずらして折り重なって行く
その手際がまた実に見事だ
しかし、私にとってのこの映画の価値を
決定づけたのは、ひと言の、このセリフ

  That's the way it crumbles, cookie-wise
  (That's the way the cookie crumbles)

の、日本語訳である

  世の中なんて、そんなもの

みたいな感じではなくて

   成り行きだからね

とずばっと訳したのが
あまりにも凄すぎて唸ってしまう
この言葉が登場するたび
しみしみする私なのである
 





コメント(0) 

映画「東京オリンピック」を見ずして1964年を語るなかれ [映画]

台風に台無しにされたこの連休中
テレビでよく話題にのぼるのは「1964年」である
今からちょうど50年前という節目であり
「新幹線」が登場し「東京オリンピック」が開催され
戦後日本の転換点になった年でもあったからだろう
特にこの2つは、主題としてよく取り上げられている

でもちょっと待ってほしい

「1964年」を語るなら
「東京オリンピック」を語るなら
まず、この映画を観なくちゃでしょう
20141013todvd.jpg
オリンピックの翌年に劇場公開された
市川崑が総監督の、3時間近い超大作であり
国内歴代2位の動員記録をもつ傑作である
私が傑作だと思う理由は次のとおり

・記録ではなくドラマであり、ドキュメンタリーではなく映画である
・人間中心の視点-アスリートだけではなく、
 観客や審判、整備員から
 沿道の一般大衆の表情まで丁寧に捉えていて
 当時の気分といったものが、ひしひしと伝わってくる
 「1964年を語るなら」と私が思う所以だ
・雨のしずくや食事風景、補給所の描写、
サスペンスぽい音楽(JAZZもあり)
 など、「感動を盛り上げる」とは異なる志向

【脚本の存在】
その序にいう
「この映画は純然たる記録であって、しかも単なる記録に止めてはならない」と
結果としてこの映画は、単なる記録映画ではなく、立派な映画作品となっているのだ。例をあげると
20141013toabeseika.jpg
競技場に向かうアベベの肩越しに、聖火台が見える
こんな映画のワンシーンのようなドラマチックな映像が
なぜ撮れるのか。その答えが「脚本の存在」である
起こりうる事柄を可能な限り予測して練り上げられた脚本だ
その脚本があることにより
現場のスタッフが、その場で起きた事を
監督の意図に沿うような映像に収める事ができたのだそうだ
これって、日常の仕事にも通じていて
予測できないということについ甘えて
その場限りの出たところ勝負になりがちだけれど
それでは組織的な仕事はできないのである
もちろん脚本には和田夏十がクレジットされている
市川崑経由ではなく和田夏十経由でこの映画にたどり着いた私は
その仕事ぶりにあらためて驚嘆するばかりである

【スター】
伝説の神永vsへーシンク戦や
20141013tokaminaga.jpg
大松ジャパンはいうまでもなく
アベベのカッコいいこと!
20141013toabebe.jpg
その表彰式での円谷の微笑
20141013tokokichi.jpg
そしてチャフラフスカの艶やかさ
20141013tochafla.jpg
伝説のスターそろい踏みである

【50年前の東京】
ちょうど今から50年前の東京の
10月10日からの15日間がまるごと
この映画には詰まっている
そこに登場する人々の
ひたむきな熱意と
落ち着きやたたずまいといったもの
この50年に失ったものが何かを
次の50年に目指すべきものが何かを
教えてくれるような気がする
20141013toheikaisiki.jpg

コメント(0)